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馬に乗り始めて1年、中学1年生のりこちゃんの馬術ストーリー。
Vol.03 「馬術の階段」

はじめて人馬!

はじめて人馬!

こんにちは、馬術ナビゲーターのりかです!
前回の練習準備に続き、「どうやって、経験ゼロから馬に乗るの?」「どんな練習があるの?」そんなギモンにお答えして、りこちゃんが通う乗馬クラブで、りこちゃんと、りこちゃんのお母さんといっしょに、乗馬の基本的な練習をしょうかいしていくよ。みんなもレッスンの風景をイメージしながら読んでみてね!

第1回 馬術、はじめました!
第2回 馬術、はじめのはじめ

はじめて人馬! 第3回

りこちゃんは、約1年前から、週に1回、クラブのレッスンに通ってるんだって。

お母さん 週末が近づくと、りこはもう、馬に会えることが楽しみで楽しみでしょうがなくて、学校の宿題を金曜に家に帰ってきてすぐ済ませるようになったんです。

りこちゃん 土曜日は、馬に集中したくて…。

すごい!てっていしてる…。馬に集中して練習したら、きっと、馬と仲良くなれるのも早いよね。

お母さん 学校の宿題は出された分しかしないのに、乗馬のための勉強は自分から進んでするので、乗馬をはじめてから机に向かう時間も増えた気がします(笑)。生活にメリハリができて、集中してものごとを進めることができるようになったかもしれません。

かわいい字できちんとまとめられている、りこちゃんの馬術ノート。
体の呼び方や馬具の名前などの他にも、クラブの馬の名前や性格なんかがまとめられてる。ちょっと前までいつも持ち歩いてたんだって。夢中なのが伝わってくるよ。
さて、今日の練習のパートナ―馬は、前回(はじめて人馬 第2回)厩舎(きゅうしゃ。馬のお部屋)におむかえに行った、北海道出身のおじいちゃん馬“じゃが”くん(21才)。おじいちゃんな分、経験豊富でおだやかで、初心者のトレーニングにはぴったりなんだって。
早速馬場へ移動して、レッスンスタート!


馬の乗りおり

まずは、馬に乗らねばはじまらない!ということで、馬の乗りおりから教わります。

りこちゃん 馬の左横に立って手綱(たづな)を取ります。手綱を短めにつかんでいっしょにたてがみもギュッとにぎってしまいます。左足を鐙(あぶみ)にしっかりと乗せて、足が乗ったら1回ストップ。
せーの、で左足に体重をかけ、右足を上げて、馬の背中をぐるっと後ろからまたいで鞍(くら)に座ります。右足も、鐙にしっかりと乗せます。

馬の背は位置が高いので、こんな風に馬の横にステップを置いて、乗りおりするんだよ。

りこちゃん 乗りおりは、すぐにできるようになりました。初めてこうやって馬に乗れたときは、目線が急に高くなって不思議な感じでした。伝わってくる馬の体温やにおい、鞍の独特の感しょくで、馬にひとりで乗れたんだぁ!と思って、ちょっと感動しました。


3 調馬索(ちょうばさく)

りこちゃん 次は、最初のうちは慣れるまで毎回行う「調馬索(ちょうばさく)」という練習です。馬に長いロープ(調馬索)をつなげて、先生がロープを手に持ち、生徒が馬に乗った状態で、先生を中心に円をえがくように馬をゆっくり歩かせます。

これは、生徒が馬の背に乗ること自体に慣れるための練習だよ。まだ馬に指示を出せない初心者でも、いざというときには先生が馬をコントロールできるから安心なの。馬に乗る姿勢等も指導してもらい、まずは馬にバランス良く乗る感覚を養うんだ。


4 いよいよ、一歩前へ!常歩(なみあし)

先生 じゃあ、大きく歩いてみよう!

りこちゃん 馬に乗ることに慣れたら、次は、自分の合図で馬をコントロールする練習に進みます。
まずは常歩(なみあし)から。
常歩(なみあし)は、すべての乗馬の基本です。馬に合図するのは、脚(きゃく)を使うんです。こうやって馬の身体をギュッとはさむようにして合図すると、すぐに分かってくれて、動き出してくれます。

広い馬場に「ポコポコポコポコ」と聞こえる蹄(ひづめ)の音。
私は、歩かせるだけならカンタンでしょ?って最初思ってたけれど、実は大変だったのを思い出した…。
脚を使って一生けんめい合図しても伝わらなくて、動いてくれなかったな。歩いてみると思った以上に体がゆれて、バランスをとるのが難しかった。お腹や脚に余計な力が入っちゃって、毎回筋肉痛になってたよ。

りこちゃん 私も毎週筋肉痛でした。1年経った今は体幹もしっかりしてきて、背筋をまっすぐにのばして馬に乗れるようになりました。


5 速歩(はやあし)

りこちゃん、だんだんとリズムに乗ってきた!

先生 オッケー、りこちゃん。じゃあ、速歩に切りかえよう!

軽くうなずいたりこちゃんが少し姿勢を変えると、馬の歩くスピードが上がったよ。はじめて見たら、どうやって合図を出してるのかは、ほとんどわからないかも。
みんなは、切りかわるしゅん間が、わかるかな?

先生 そうそう、いいねー

次は調馬索をはずして、ひとりで馬をコントロールする練習。馬の動きに合わせて鐙の上で立ったり座ったりする軽速歩(けいはやあし)は、馬にとっても人にとっても楽な歩き方ね。「タッタッタッタッ」と軽快な足音がとても心地良いの。リズムに乗って、蹄の音と、馬の動きに自然についていく。一体感が出てきたよ。

りこちゃん 常歩から速歩に切りかえるときも、脚を使って合図を出します。ギュッとしめると、馬も速歩だなって分かってすぐに反応してくれます。ちなみに速歩ができるようになったのは、レッスンに通いはじめてから、だいたい2カ月たったころだと思います。

馬が、自分の合図をわかって、その通りに動いてくれる。一番、楽しくて、もっと馬に乗りたい!って思うしゅん間だよね。


6 スピードアップ!駈歩(かけあし)

先生 じゃあ、速歩から駈歩にいってみよう!

声がかかると、「タッタッタッタッ」っていう速歩のリズムから「タカタッ、タカタッ、タカタッ」という駈歩のリズムになって、スピードが一気に上がって、はく力も出てきたよ。

りこちゃん 駈歩のときは、軽く鞭(むち)を使ったりして馬に指示をします。背筋はのばして乗りながら、手綱も少し短めに両手で持ってグッと手前に引くようにして、馬に走ってほしいという気持ちを伝えていきます。駈歩のほうがゆれが大きいからついていくのが難しくなります。でも、走っているという感じがして気持ちいいです。

じゃが君の息づかいがあらくなってきて、こっちもドキドキ。
ここまで乗れるようになったら、基本の基本はクリア!この練習をじくに、細かい合図が出せるよう練習を進めていくことになるの。


7 チャレンジ!ジャンプトレーニング

本日のレッスンの仕上げは、障害馬術を目指すりこちゃんに先生からのスペシャルメニュー、ジャンプトレーニング。障害物のバーを地面に置いて、それを歩いてまたぐのではなく、ジャンプして飛びこえるよう、りこちゃんが、じゃが君に指示を出すんだ。
少しきんちょうした表情になったりこちゃん。私も、似たような練習をちょっと前までやってたから、わかる気がする。ぐっと難しくなったよね。

りこちゃん 今回は、バーから5歩で障害物、その後も5歩でバーを通過というストレートのコースです。
指示することが大事だから、そっちに集中しちゃって、よゆうはあまりないかもしれません。ジャンプのトレーニングをしたことは何度かありますが、このじゃがとのコンビでは初めてです。うまく飛んでくれるようにがんばります。

1回目!…速歩になっちゃって、やりなおし。2回目にすぐちょうせん。駈歩を続けられない。

先生 もっと元気よく、駈歩で!もう1回!

3回、4回、何度もトライ。駈歩をずっと続けることも、馬と息を合わせて、歩幅を調整して5歩できちんと障害に届かせるのも、はじめはとても難しいの。がんばれ!りこちゃん!じゃが!
今日は暑いから、じゃが君もりこちゃんもあせびっしょり。ずっと集中している空気が伝わります。でもそろそろつかれも…

先生 よし、ラスト!がんばれ。さあ、駈歩から。しっかり脚を使いながら元気よく、5歩でいこう!

先生 オッケー。

ナイスチャレンジ、りこちゃん!ありがとう、じゃが~!

お母さん 実はこの練習で、前に一度落馬していて、障害の練習はそれ以来今日がはじめてだったんです。

りこちゃん 正直に言うと、すごいこわかったです。めっちゃ久しぶりの練習だったから。
でも、じゃがといっしょだとやりやすかったです。歩数を合わせるのが難しかったけど…。
合図がちゃんと伝わって、馬が走ってくれるのは、やっぱりとっても楽しいです。

全国乗馬倶楽部振興協会

一生けんめいトレーニングをして、馬術に向き合って、一つ乗りこえた、りこちゃん。馬からおりてからも、直前の自分のレッスンを先生とふり返る姿は真けんそのもの。
これから乗馬をはじめたいみんなにも、乗馬の楽しさ、伝わったかな?ぜひチャレンジして、その面白さを実感してみてね。

次回は、りこちゃんが、りこちゃんと年の近い、ジュニアの全日本大会を観戦して、選手に練習のコツを聞いてくるよ!
全日本の競技をはじめて観る、りこちゃん。どんな世界が広がっているのかな?
お楽しみに!

取材・撮影協力 
平沢ライディングガーデン

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