ゆっかーが聞く!馬術オリンピアンが語るオリンピック。渡辺祐香選手
ゆっかーが聞く!馬術オリンピアンが語るオリンピック。渡辺祐香選手

いよいよ大会本番が近づいてきた東京オリンピック。
日本の馬術界からも過去に数多くの選手がオリンピックに出場し、世界の最高峰の舞台に立ってきました。

そこで、そんなオリンピアンの方々をお招きして、私、菅井友香が、出場されたときの気持ちやオリンピック本番の雰囲気など、
たっぷりとお話をお聞きしました。
今回は2004年アテネオリンピックの障害馬術に、ナイキ号とのコンビで出場した渡辺祐香選手です。

菅井 友香

馬術競技の大先輩の渡辺祐香さんにお話をうかがいます。
ちょっと緊張していますが(笑)、どうかよろしくお願いします。

渡辺 祐香

こちらこそ、よろしくお願いいたします。

菅井 友香

渡辺さんは高校生のときには、数々の全日本大会で優勝されるなど注目を集める選手だったとうかがっています。
オリンピックを意識し始めたのはどれぐらいのタイミングでしたか?

渡辺 祐香

高校生の頃は、日本では優勝できても世界ではまだまだ裾野のレベルと自覚していましたので、「ただただ上手くなりたい」という気持ちでいっぱいでした。そんななか、ご縁があってドイツのオット・ベッカー選手のところでトレーニングできることとなり、20代の後半くらいからドイツに渡りました。
そこでは馬術の基礎、それこそ選手としての心構えから教えてもらいました。本当にいい勉強ができたと思います。

2000年に行われたシドニーオリンピックのあとに、ベッカー選手からアテネを目指すように勧められたこともあって、アテネオリンピックが明確な目標になりました。当時乗っていた馬は故障してしまったのですが、アテネの2年ほど前にまだ若かったナイキと出会い、「トレーニングをしてともに成長しながら、一緒にオリンピックに出られたらいいな」と考えていました。

菅井 友香

そしてその目標を実現して、2004年のアテネオリンピックに、ナイキとのコンビで出場されました。オリンピック出場が決まった瞬間の気持ちはいかがでしたか?

渡辺 祐香

最後の最後まで自分が選ばれるかどうかわからなかったので、代表に選ばれたときは嬉しかったですね。

菅井 友香

日本人女性として初めてオリンピックの障害馬術競技に出場されたのですよね。改めて振り返っていただいて、アテネオリンピックはどういう舞台でしたか?

渡辺 祐香

ずっとドイツでトレーニングを行ってきて、それまでもヨーロッパを中心にインターナショナルの試合にもかなり出場していたのですが、やっぱりオリンピックは他の試合とは雰囲気がまったく違いましたね。
国の代表として戦うという重圧も感じましたし、とても緊張したけれどもすごく良い経験になりました。

菅井 友香

どんなところに違いを感じましたか?

渡辺 祐香

それまでは失敗したとしても自分個人だけの問題でした。でも、オリンピックは日本を代表して参加する大会なので、それがとても大きかったです。他にも出たかった選手がたくさんいたなかで自分が代表に選ばれ、選手として出場するということで、とても気持が引き締まりました。

菅井 友香

日本から応援のかたもたくさんいらっしゃったんですか?

渡辺 祐香

はい。それまではずっと1人で海外の競技に出ていたので、とても心強かったことを覚えています。

菅井 友香

アテネオリンピックのときのエピソードを教えてください。

渡辺 祐香

障害馬術では、競技開始直前にコースがオープンして、選手やトレーナーが歩いてチェックをするのですが、その下見のときに「このコースどりで障害物にアプローチをしよう」とか「この障害物に対してはどの辺りで踏み切ろうか」などとイメージするんです。
そのイメージ通りに完璧に走行できたことが、今でもとても印象に残っています。

菅井 友香

オリンピック本番でそれができるなんてすごいです!ナイキとのコンビネーションが良く、本番で息がぴったり合ったのですね。

渡辺 祐香

はい。馬もオリンピック独特の緊張感を感じていたのか、障害物に対してとても集中しているな、ということを乗っていて感じました。

菅井 友香

オリンピックでそんな騎乗ができると馬との絆が深まりますね。オリンピックに出場されたあと、ご自身のなかで何か変化はありましたか?

渡辺 祐香

達成感を得られたことですね。オリンピックという大きな目標があって、それに向かって長い間トレーニングや海外を拠点に活動したので、その目標を実現できたという意味ではとても満足しています。

菅井 友香

今、その時の渡辺さんと同じように、オリンピックを目指して活動している選手がたくさんいらっしゃいますね。

渡辺 祐香

日本の選手は、オリンピックに出ようと決心したら海外に飛び出していかないといけない。今もコロナで厳しい状況のなか、家族や友人と離れて、単身向こうで頑張っていらっしゃる選手が多いと思うので応援したいですね。

菅井 友香

渡辺さんは今も競技の第一線で活躍されていますが、現在の目標はどんなところですか?

渡辺 祐香

競技に出場しながら、ジュニアの選手を指導したりとか、馬のトレーニングをしたりといったことに取り組んでいます。そういった人馬の育成の部分でも、私の経験を次の世代に伝えながら日本の馬術界が発展するお手伝いができたら、と思っています。

菅井 友香

馬を育てる難しさや楽しさはどういうところですか?

渡辺 祐香

馬は生き物なので、やっぱり人間と一緒で個性がとてもあるんです。
一頭一頭違うその個性を考えながら育てていくのですが、私のトレーニングのやり方ひとつで馬の動きが良くも悪くもなったりします。
難しいですが、とてもやりがいがあって楽しいですね。

菅井 友香

では最後に、馬術競技でこれから世界を目指す若い選手へのメッセージをお願いします。

渡辺 祐香

日々の練習やトレーニングなどを行っていくなかで、クリアしなければならない目標や練習の課題が、皆さんそれぞれにあると思います。なかなかうまくいかなかったり、スランプに陥ったりすることもあると思いますが、そんな時も自分を信じて、そして馬を信じて乗り越えていって欲しいです。頑張ってください。

菅井 友香

いろいろなお話をうかがえて、とても楽しかったです。これからもますますのご活躍をお祈りしています。
今日はありがとうございました。

渡辺 祐香

こちらこそ。ありがとうございました。

ゆっかーが聞く!馬術オリンピアンが語るオリンピック。渡辺祐香選手

Profile

渡辺 祐香(わたなべ ゆか)

1967年8月26日生まれ。静岡県出身。東海大学第一高等学校〜東海大学。
2004年アテネオリンピック障害馬術 個人39位。
1995年全日本大障害スピード&ハンディネス優勝、1996年全日本中障害飛越選手権優勝、2015年全日本障害飛越選手権2位、2017年全日本大障害飛越競技B優勝、現在、静岡県掛川市のつま恋乗馬倶楽部に所属し、自ら競技を続けるかたわらコーチとして後進の指導も行っている。