障害物は競技のレベルによって高さが違い、トップレベルの競技では160cmもある障害物が置かれています。

障害物のタイプは、大きく分けると、「垂直障害」「幅障害」の2種類があります。「垂直障害」は高さだけが要求されるもの、「幅障害」は幅(奥行き)があるもので、その両方がコースにバランス良く配置されます。

色や形もさまざまで、レンガを積み上げたようなデザインの障害物や生け垣を利用した障害物などもあります。
ロンドンオリンピックの障害馬術競技では、ビッグベンやお城を模した障害、さらにはロンドン名物の2階建てバスを模したミニチュアを飛ぶような障害もあったんですよ!

私がこれまでに飛越したことのある一番高かった障害物は110cmです。飛んでいる瞬間は、「あ、飛んだ」という感じなんですけれども、身体がふわっと浮いて、本当に独特の感覚になりましたね。
皆さんも大会を観戦するときには、「こんな障害もあるんだ」とか「この障害を飛ぶとき、選手はどんな気持ちでいるのかな」といった視点で見るとより楽しめると思いますよ!

やはり、馬場馬術ではとにかく美しい騎乗姿勢を保てているかが重要なポイントになりますね。背筋のラインがまっすぐ伸びていて、まるで背中に1本の棒が入っているような、そんな乗り方をされている選手を見ると「わぁ、この選手は姿勢がとても綺麗だなぁ」とみとれてしまいます。
乗馬を始めた頃に私が教わったのは「頭とお尻とかかとが縦に一直線で、地面と垂直になるのが良い」ということでした。

最初の頃は、お尻が縦のラインから外れて後の方にでっぱってしまい、よくコーチに注意されました。それを気にすると今度はヒザが前の方に出てしまって注意されたり。美しい姿勢を保つために、背中の後ろに水平にムチを置いて、ひじの間に通したまま手綱を持ち、そのまま馬場を何周もするトレーニングもしました。そのとき「あぶみ上げ」といって、あぶみから足を外して練習するんですけれども、このトレーニングが一番つらかったかもしれないです。背筋もお腹まわりの筋肉もかなり使いますし、内ももを使ってバランスを取るために太ももの筋肉も酷使するので、最初の頃は、練習が終わってから階段を上り下りするときなどに身体のあちこちが痛くて大変でした。

他にも、馬場馬術の選手は手綱を握る指のわずかな動きや、脚の位置や力の入れ具合などを駆使して、馬が自らいきいきと動いているように演技を展開していきます。そういったトップ選手のテクニックにもぜひ注目して観戦してください!

総合馬術で行う3つの種目のなかで花形のクロスカントリーは、愛馬を操りながらハイスピードで森の中を駆け抜けたり、自然を生かした障害物を飛び越えたりするハードな種目なので、安全のために「プロテクター」を着用します。衝撃を吸収する素材を使ったものや、落馬しそうになって馬から身体が離れた瞬間に膨らんで身体を守るエアバッグのような機能を持ったものまで、さまざまなプロテクターが開発されています。

総合馬術の選手が着用しているプロテクターを見たとき、それだけハードなライディングに挑戦されているんだなと気付きました。その勇気がかっこいいですし、尊敬しちゃいます。

私も乗馬を始めたばかりの頃、プロテクターを着用していました。身体を守ってくれるので、着用するととても安心感がありました。初心者の頃は、落馬もしょっちゅう経験したのですが、プロテクターがクッションになってくれて痛みを半減してくれていたのかな、とも思います。

ヘルメットとともに安全を確保するためには欠かせない道具ですから、クロスカントリーに限らず、特に馬の動きや反応に慣れていない段階の騎乗では、安全のためにもぜひプロテクターを着用していただきたいですね。

このファンサイト内の「大会情報」のページに、日本馬術連盟主催の全日本大会の日程や見どころが掲載されていますよ。

「大会情報」ページから見に行きたい「大会名」をクリックすると、その大会の見どころ、会場へのアクセス、また直前情報・結果速報へのリンクなどが載っているページへ移動するので、そこでより詳しい情報をゲットすることができます。初めて観戦される方には、私も出場したことがある「障害馬術」が、ルールも分かりやすく、迫力満点でおすすめです。

ぜひ「大会情報」のページを活用して、楽しい観戦に役立ててくださいね。

《世界馬術選手権大会》です。これは4年に一度、オリンピックとオリンピックの間の偶数年に開催されます。ちょうど今年がその年にあたります。

オリンピックで行われるのは障害馬術、馬場馬術、総合馬術の3種目ですが、世界選手権はなんと8種目! オリンピックの3種目に加えて、エンデュランス、パラ馬術、レイニング、馬車、軽乗が行われるんです。もちろん参加する選手や馬の数も多く、1000人馬を超えるそうです。

このビッグイベントがスタートしたのは1990年です。8回目を迎える今年の会場はアメリカ・ノースカロライナ州のトライオン。9月11日~23日に世界のトップ選手とトップホースが集結します。大会の公式サイトによると、2週間で50万人の来場者を見込んでいるようです。

また、日本にとってはアジア大会も重要です。こちらも4年に一度開催されるもので、今年が開催年なんです。オリンピックのアジア版というイメージで、馬術を含め、41種類の競技が行われます。アジア大会はこの8月に、インドネシアのジャカルタで開催されます。

アジア大会と世界選手権には、日本の選手も出場します! 私も楽しみにしています♪

(菅井友香オフィシャルブログより)

(菅井友香オフィシャルブログより)

トップレベルの大会で活躍している選手はパートナーの馬が決まっています。毎日一緒にトレーニングをするだけでなく、厩舎でお世話もしますし、何年もかけて長いお付き合いをしているコンビが多いですね。そうすることで、馬とのコミュニケーションも深まりますし、より人馬一体となったパフォーマンスを発揮できるようになるんです。

私が馬術を始めたときは、少年団(未来の馬術競技選手を目指す、小学校高学年~高校生が所属)で「今日はこの馬に乗ってね」という感じで、日によって乗馬クラブが貸してくださるいろいろな馬に乗らせていただいたのですが、馬場馬術に本格的に取り組むと決めたあとは、愛馬「ヴォルフラム」と出会ってコンビを組みました。

ヴォルフラムはすごく体格がしっかりとした力のある馬で最初の頃はなかなか思うように乗りこなせませんでした。でも厩舎でお世話をするなど、一緒にいる時間を重ねていくうちに呼吸が合って、だんだんと「馬がこうしたいんだな」とか「今日はこんな風に乗ってほしいのかな」ということもわかるようになってきて、良いコンビになれたと思っています。

そのほか、高校生や大学生の試合では、大会主催者が準備した馬に乗る「貸与馬(たいよば)競技」も行われています。

海を越える遠征のときは、なんと馬も飛行機に乗ります! 馬が快適に過ごせるように特別な装備が施されていて、馬は一頭ずつストールと呼ばれる個室に入ります。温度や湿度はコントロールされていますし、グルーム(馬のお世話をする人)獣医さんも同乗してケアをします。
馬は普段からあまり横になって寝ることがない動物で、十数時間におよぶ飛行中もずっと立っています。シートベルトの代わりという訳ではないのですが、頭や肢をぶつけて怪我をしないよう専用のプロテクターをつけています。 機内食もあるんですよ! 馬が好きなときにいつでも食べられるよう、乾草と水が用意されています。

とはいっても、日本の馬が飛行機で移動する機会はあまり多くありません。それは、国際舞台で活動する馬のほとんどがヨーロッパやアメリカを拠点にしていて、陸続きの国で行われる競技会に出ることが多いからです。陸続きの移動は「馬運車(ばうんしゃ)」という馬専用のトラックが使われます。

オリンピックや世界選手権のような大きな大会のときには、何ヵ所かハブ空港が設定されて、そこからまとまって飛行機で輸送します。ちなみに、2016年のリオデジャネイロオリンピックのときには、イギリス、ベルギー、アメリカの3 ヵ所のハブ空港から、200頭を超える馬がブラジルに運ばれたんですよ!

この8月にはアジア大会に出場するため、日本代表の3頭が日本から、9頭がヨーロッパからインドネシアに移動します。無事に現地に到着して、元気に競技に出てほしいですね!

ケースバイケースです。

トップ選手は紹介を受けたり、情報を集めながら自分で牧場を巡ってパートナーとなる馬を探したりしています。オリンピックなど大きな大会で好成績を挙げた 有名選手の場合は、馬術競技用の馬を所有している馬主さんや牧場から「ぜひうちの馬に乗って!」とラブコールを受けることもあるそうです。

馬術競技馬としての本格的な 調教は4~5歳くらいに始まるのが一般的で、パフォーマンスのピークは10~16歳くらいだといわれています。若い馬を手に入れて一から育てることもありますが、ある程度までトレーニングが進んで、すぐに競技に出られる馬を購入するケースなど、いろいろです。

乗馬を楽しんでいる一般の方が「自分の馬がほしいな」と思ったときは、所属している乗馬クラブに相談して、レベルや目的、購入予算に合った馬を紹介してもらい、実際に乗り心地や相性を確かめてから選ぶことが多いようです。自分の愛馬を持つと、上達のスピードも早くなるそうですよ。

日本国内では「読み仮名で20文字以内」と決められています。読み仮名、というのは馬名を読み上げたときの音の文字数のこと。たとえば私と一緒に全国大会へ出場した「ヴォルフラム」なら「ぶぉるふらむ」で6文字。漢字の馬名で「欅坂 」なら「けやきざか」で5文字と数えます。

最近はヨーロッパなどから輸入された馬の名前をそのままカタカナにした名前が増えてきているそうです。アンバサダーライダーの小牧加矢太選手の愛馬は「ガルーファンデスケンメルスベルグ」というとても長い名前。ベルギーの馬で、「スケンメルスベルグ地方のガルーくん」という意味だそうですよ。

今、私が自由に馬の名前を付けられるとすれば、えーと…どうしようかな?
(と、しばし考えたのちフリップに書いた名前を見せて)
じゃじゃーん! 発表します!!
「ケヤッキー」です。

欅坂46関連の馬名にしたいなぁ、と思っていて、あと『二人セゾン』という楽曲が大好きなので「セゾンちゃん」とか「ケヤキザクラ」とか「ケヤキセゾン」といった名前も考えたんですけれど、「うーん、やっぱりしっくりこないなぁ」と思い直して、それから欅坂46のモットーが“謙虚と優しさと絆”なので、絆を英語にして「ボンズちゃん」だとか「ボンズセゾン」も考えました。

でも、でも、やっぱり語呂的にもカタカナでかっこいいし、呼びやすいし、とっても気に入ったのでケヤッキーにしました! いつか、ケヤッキーに乗って馬術の大会に出場して、「菅井友香選手、愛馬ケヤッキー」ってアナウンスされたらかっこいいかな、って思いました。

どんな馬かなぁ…、色は茶色っぽい鹿毛 (かげ)が良いですね、ちょっと欅坂46っぽい感じで。それから、額にある白斑がちょうど欅の葉っぱみたいな形だったら最高です。皆さんの周りにケヤッキーっぽい 馬がいたらぜひ教えてください(笑)!

馬というと「ニンジンが大好き!」というイメージを皆さんは持たれると思うんですが、実は馬によって意外に好き嫌いがあったりするので興味深いんですよ。

馬は草食動物なので、基本的にはやっぱり「草」を食べます。
一般的には乾燥した牧草や、とうもろこしや燕麦(えんばく)、小麦粉、米ぬかなどを混ぜてペレット状にした配合飼料を与えています。

競技に出場する、いわゆる「アスリート系」の馬は、厩舎で選手自身やスタッフが飼料の配合や1回 当たりの量などをコントロールしたり、サプリメントをミックスしたりと、きちんと管理されています。バランス良く食べるのが重要なのは、人間と同じですね。

おやつ感覚で与えることが多いのは、甘いもの。りんごやニンジンがその代表的なものです。
私が出会った馬の中で珍しかったのは、すいかの皮が大好き、という子がいましたね。ちょっと赤いところを残してすいかをあげると、とっても嬉しそうに食べてくれて癒された思い出があります。
  トレーニングで頑張ってくれた後などには、角砂糖や金平糖をご褒美として食べさせることもあります。金平糖をあげると、本当に幸せそうな顔でポリポリと音を立てて食べてくれて、その様子がとても可愛らしいんです。こちらも嬉しくなってついついたくさんあげたくなるんですが、与えすぎにならないよう気を付けています。

馬はとても感情が豊かな動物で、しぐさで感情を表現するので、そこに気を配って接していると馬の気持ちがよくわかります。

よくわかるポイントの1つが耳の動きです。馬は昔から広い草原などで暮らしていた動物なので、多方向の音を聞くために耳を様々な方向に向けることができます。

耳を立てて何かをじっと見ているときは、「なんだろう?」と前方の人や物に注意が向けられている状態。耳を横に向けているときは、馬がとてもリラックスしていて気分が良いときです。

逆に不安なときは耳がぴょこぴょこと動いて、色んな方向の音を聞こうとしています。それから、馬が興奮しているときや怒っているときは、耳を絞る、といって耳をぺたっと後にくっつけているようなしぐさをします。そのときは歯をむき出しにするような表情を見せたり、首を下げたり、歯ぎしりをしたりすることもあります。馬がそんなしぐさをしているときは、急に蹴られることもあるので注意が必要です。

馬が顔をすり寄せてきたり、鼻をくっつけてきたりするのは人間を友達のように思って、甘えている証拠です。

あと、よく厩舎などの床や地面を前肢で叩いたり、こするようにひっかいていたりするのは前掻き(まえがき)といって、何かを訴えています。おなかが空いていて「ご飯がほしいよー」とか「お水が飲みたいよー」といった合図だったり、「ちょっと散歩したいなぁ」といった気持ちを表していたり、体の具合が悪かったり、精神的に落ち着いていないときなどもそんなしぐさをします。

そのあたりの馬のしぐさを、よりわかりやすいようにマペットやぬいぐるみを使って説明しましたので、ぜひこちらの動画も見てくださいね!

馬への合図のことを「扶助(ふじょ)」といいます。その方法は大きく分けて3つあります。まず、「脚」。馬術では「あし」ではなく「きゃく」というんです。そして「拳」。手綱を通してハミ(馬の口に入っている道具)に働きかけます。もう1つは「座り」。「シート」ともいいます。体重の掛け方で馬にいろいろなことを伝えることができます。

馬に乗ったら鞍(くら)にお尻をベタっとつけるのではなくて、ちょこんと乗せるくらいのイメージですね。坐骨をまっすぐにして座り、両脚の内ももで馬体を挟み、あぶみにはあまり深い位置まで足を入れずに、甲の一番足幅のある部分を乗せます。馬に「歩いて」という合図を送るときは足首を柔らかく使ってかかとでやさしく馬のおなかを押してあげるイメージです。

曲がってほしいときは、手綱だけで操作するのではなく、両脚でギュッと馬を挟んだり、自分の重心を移動させたりして曲がることを馬に伝えます。

手綱はできるだけリラックスして持ち、余計な力を入れないようにするのですが、必要なときに手首を返すなどして操作します。

このように乗り手は脚、拳、座りの3つを連動させて使います。上手なライダーはほんのわずかな合図で馬に指示を出すことができるので、傍からは何もしていないように見えるんです!

大学の馬術部では、馬のお世話を自分たちで行っていました。

部員は朝6時半くらいには馬術部の厩舎に集合します。

最初に馬房という、馬が過ごしている部屋を掃除して、床に敷いてあるワラやおがくずが減っている場合はそれを交換して、馬が快適に過ごせるようにします。次に水桶という、馬が水を飲むための大きなバケツを全部外して1つひとつを綺麗に洗ったり、外の掃き掃除をしたり、馬の体温を計ったりといったことを部員同士で手分けして行っていました。

馬が食べる飼い葉は、何をあげたら良いのかが一覧表になっているのでそれを見ながら配合をしたり、「元気がないから今日はこれを飼い葉に混ぜてみよう」などと担当の先輩と相談しながらつくったりしていました。

大学の授業が終わったら、練習馬場で馬に乗ってトレーニングをします。馬の体調にもよりますが、45分から1時間くらいは乗っていたかな。

練習の後には馬のひづめの間に詰まった泥などを取ってあげたり、水浴びをさせてからブラシをかけてあげたりして馬とコミュニケーションを取りました。そのような感じで1日のうち相当な時間を馬術部の馬場と厩舎で過ごしていたような気がします。

馬の世話や体調管理も含めて部員が責任を持って取り組むので、いろいろな知識も身に付いたし、馬が自分たちの身近な存在となっていたので、馬のちょっとした変化にもすぐ気付けるようになりました。大学時代を馬術部で過ごせてとても良かったと思っています。

それから馬に会えるのが楽しくて毎朝通っているうちに、苦手だった早起きが苦にならなくなりました。アイドルになった今でも寝坊しないのはそのときの経験が役に立っているのかもしれませんね。

鞭は馬に「合図」を送るために使っています。

馬場馬術では、競技に出場する際に鞭を使用することは禁止されていますが、練習や調教時には、馬に技を覚えてもらうために欠かせない馬具です。

競技のときだけでなく、競技前に最後の調整をする馬場の柵内に鞭を持って入ることもできないので、私の場合はその最終調整ぎりぎりの練習までは鞭を使って騎乗して、馬とのコンビネーションや本番での動きを確認してから競技に臨んでいました。

鞭は、脚や体重移動だけでは馬に指示が伝わらなかったときに、本当に補助的に使うイメージです。私の場合は「もうちょっと速く走ってほしいな」というときや、馬がヨレてしまって「まっすぐ進んでほしいな」というときに、ちょんちょんと軽く鞭を馬体に当てて、意思を馬に伝えていました。

馬によっては鞭を持って騎乗するだけで、元気に走ってくれることもあるんですよ。ちゃんとわかっているんですね。

障害馬術では短鞭(たんべん)と呼ばれる短い鞭を持って競技に出ることができて、その長さは75cmを超えてはいけないというルールがあります。鞭にはストーンが入っていたり、色や模様をカスタマイズできたりするので、お気に入りのデザインを見つけるのも楽しみの一つです!

馬のお世話をするために、ほぼ毎日使う馬具には「フーフピック」「汗こき」「ブラシ」があります。

「フーフピック」はブラシの柄の先にカギ状になった金属がついている馬具です。馬の蹄(ひづめ)の裏に詰まった泥や草などをこの金属の部分を使って掻きだすようにします。そのあと、ブラシの部分で蹄についた細かい泥を落としてあげます。

「汗こき」は馬の体を洗った後などに水を切るための馬具です。プラスチックと金属製があり、水切り部分がカーブした形でついていて、上から下に向けて馬体に沿うように滑らせて使います。

「ブラシ」をかけてあげるのも大好きです! 右手にブラシを持って毛並みに沿って動かしていくのですが、私の場合は大きく開いた左手を必ず添えるようにして、馬がよりリラックスできるように心掛けています。

お世話しているときに馬がとても気持ち良さそうにしているとこちらも嬉しくなりますし、とっても癒されますよ。

「イヤーネット」という馬具です。耳に虫が入るのを防ぐものですが、周囲の雑音を軽減する効果もあるんですよ。

イヤーネットを被せることによって馬に安心感を与え、より競技に集中させることができるんです。

刺繍の入ったものやレースをあしらったものなど、デザインが素敵な製品がいっぱいありますし、カラーバリエーションも豊富なので愛馬に似合うイヤーネットを選んであげるのも楽しいと思います! 頭の上にちょこんと乗るようにイヤーネットをつけた馬の姿はとっても可愛らしいですよね。

馬術競技には、観戦している中で「これは凄い」とか「これは面白い」というポイントがとてもたくさんあります。ページに限りがあるので全部ではありませんが、いくつか私なりのポイントをご紹介しますね!

(しばし考えて)

障害馬術は、「この高い障害物を馬が無事に飛べるのか」と、見ているだけでハラハラしますよね。初めて見た人でも難しく考えずに楽しめる分かりやすい種目ですが、それに加えて出場する人馬それぞれの障害物にアプローチするスピードや、踏み切りのタイミングなどが違うんです。その違いに注目するとより楽しめると思います。

大会ルールによっては走行タイムも順位に影響するので、どういう角度で障害物に向かっていくのかを見比べるのも面白いですよ。例えばタイムを縮めるために最短距離を通って斜めに障害物を飛越することもありますし、多少時間がかかっても確実に飛越するために、十分な助走距離をとって真っすぐに障害物に向かう選手もいます。そんなところからも選手の気持ちを想像することができるんです。

馬場馬術で私が注目するのは、競技の出番直前の準備をするための「待機馬場」です。そこで運動している様子を見ながら「この選手はこの馬をどうやって競技までにつくり上げたんだろう?」と想像したり、乗馬クラブごとに微妙に違う騎乗フォームを見つけてみたり。

競技内容以外では、馬のたてがみにもぜひ注目してください。編み方に個性があるんです! 「あ、この編み方はとても可愛いな」などと、選手の馬へのこだわりを想像しながらたてがみを見比べるのも楽しいですよ。

初めて観戦される方は、「どうしたら良いのかな」といろいろと気になってしまう部分はありますよね。決して厳しいきまりがあるわけではなく、気軽に楽しく観戦できますが、馬と共に戦う競技なので、競技をスムーズに進行するため、また出場人馬や他の観客の安全のために「これは行わないでください」というポイントはあります。

馬はとても繊細な動物なので、馬が怖がったり、びっくりするようなことはしないようにしてあげてください。
馬は音にも敏感です。大きな音を立てたり、大声を出して話したりすると驚いてしまうんです。
実は、コンビニなどでもらえるポリ袋が「ガサガサ」と風に揺れて音が出ただけで驚いてしまう馬もいるんです。馬の近くにいるときは、特に気を付けてくださいね。
また、競技中の写真撮影では、フラッシュを絶対に使用しないでください。これも馬が驚いてしまうためです。

そして最後にとっても大事なことを1つ。
競技を終えた人馬には、温かい拍手を送ってあげてください! 私も演技の後に拍手をいただいてとても嬉しかった経験があります。

各大会会場での注意に従って、最低限のマナーを守って観戦すれば大丈夫です。ぜひ馬術競技の観戦で楽しい1日を過ごしてくださいね!

Q5でご紹介しているように、オリンピックで実施される馬術競技は、障害馬術、馬場馬術、総合馬術の3種目です。この3種目が代表的なものですが、馬術競技には他にも魅力的な種目がたくさんあります!

今回はこの主要3種目以外で、FEI(国際馬術連盟)が管轄している5種目をご紹介します。

1)エンデュランス Endurance

まずは、エンデュランス。
馬のマラソン、といわれている種目で、トップクラスの大会ではなんと160kmのコースを走ります! 長い距離を、馬のコンディションを保ったまま、どれだけ早い時間で走り切れるかを競います。

コースは複数の区間に分かれていて、1区間終わるごとに獣医さんが馬の健康状態をチェックします。もしそこで馬の状態が良くないと判断されると、ドクターストップが掛かって走行中止ということも。それだけに、完走すれば人馬ともに大きな名誉となります。ゴールした後に一番コンディションが良かった馬には「ベストコンディション賞」が与えられるんですよ。

日本では、全日本エンデュランス馬術大会が最高峰の舞台。日本一を決める選手権競技は120kmの距離で行われています。

2)レイニング Reining

レイニングは、ウエスタンとも呼ばれる種目で、カウボーイが馬を御する技術から競技に発展しているためアメリカやカナダではとても盛んです。

馬の動きの美しさと正確さを競う種目ですが、スライディングストップ(高速で走っている馬を後肢でブレーキを掛け止まらせる)、スピン(その場でくるくると回る)など、激しい動きを緻密に行うことが要求されます。

選手はウエスタンハット、襟付きの長袖シャツとウエスタンブーツといったウエスタン風の服装で出場します。アメリカ西部劇映画の服装みたいでかっこいいんです!

3)軽乗(けいじょう) Vaulting

走っている馬の上で体操競技のような演技を行う軽乗。選手が馬の背中に立って乗ったり、後ろ向きに乗ったり、逆立ちをするなど様々なポーズをとったり、馬の上で跳躍したり、バック転で飛び降りたりというワザを次々に行います。2人、3人が同時に乗ることもあります。

>軽乗専用の鞍にはハンドルが付いていて、体操競技のあん馬の由来になっているといわれています。アクロバティックな動きが多くて見ていてドキドキする、とても迫力のある種目です。初めてご覧になる方は、きっと驚かれると思いますよ!

選手の動きがとにかくすごいので、馬はあまり注目されないのですが、実は馬もすごいんです。選手が背中の上でどんな動きをしてもいつも同じペースで落ち着いて駈歩(かけあし)をしています。馬がしっかりサポートしてくれるからこそ、選手はアクロバティックなワザを成功させることができるのですね!

4)馬車 Driving

日本では行われていませんが、選手が馬車をいかに上手くコントロールできるかを競う種目もあるんです。1頭立て、2頭立て、4頭立ての競技がありますが、メジャーな大会では4頭立てが行われます。

4頭立ての馬車には御者(選手)グルーム2人が乗ります。3日間に渡って異なる種目が行われ、その総合成績で順位が決められます。 まず1日目は、馬場馬術さながらに決められた演技を行う「ドレッサージュ」。続いては10〜22kmほどのコースを馬車で走り抜ける「マラソン」に人馬が挑みます。総合馬術のクロスカントリー同様、水の中を走り抜けたり、野山を走り回ったりするコースが設定されることもあります。そして最終日には、コーンが設置されたコースをできるだけ早いタイムで走る「コーン(障害)」が行われます。選手の驚異的な手綱さばきで、4頭立ての馬車がすいすいとコーンの間を滑らかに走る姿に、きっと感動しますよ!

ヨーロッパでは数多くの馬術競技の中でもたくさんの観客がつめかける人気の種目です。

5)パラ馬場馬術  Para Dressage

馬術のパラ競技には馬場馬術と馬車の2種目がありますが、パラリンピックでは、馬場馬術のみが行われます。

肢体不自由の選手と視覚障がいの選手が対象で、選手の障がいの程度によって5段階にクラス分けされています。障がいに応じて、脚の代わりに鞭(むち)を持つことや、片方の手で馬を操るための手綱など、通常は認められない馬具の使用や改造なども、一定のルールのもと許されています。

このようにオリンピック種目以外にも、馬術競技にはいろいろな種類があるんですよ。

そして今回、ご紹介した種目の中で私が一番興味があるのは…

じゃじゃーん。レイニングです!

馬術の試合は、観客の皆さんが静かに人馬を見守って応援するスタイルが多いですが、レイニングはそれとはまったく違うんです。

映像で見たことがあるのですが、観客席から「わあっ」と大きな歓声が上がったり、「ヒュー」と指笛を吹いている人がいたり。なかには「Yeah!」と叫んでノリノリの観客もいて、驚きました。
選手と観客が一緒に盛り上がっている様子を見て、すごく楽しそうだと思いましたし、ああいった雰囲気で騎乗できるのなら私も一度挑戦してみたいな、と思ったこともあります、少しだけですけどね(笑)。

オリンピック馬場馬術個人で3大会連続金メダルを獲得したアンキー・ヴァン・グルンスヴェンというとても有名な女性ライダーが、世界選手権でレイニングのエキシビションを披露したことがあるのですが、それはもう素晴らしい騎乗で会場が一体となって盛り上がりました。
馬をダーッと走らせて、一気に後ろ脚でブレーキを掛けるスライディングストップというワザがあるのですが、馬が5mくらい馬場をザザーッと滑ってから止まるんです。そこで土煙がもうもうと上がっている様子がとてもかっこよくて、観客もスタンディングオベーション。
それから、その場で馬をくるくると回転させるスピンの演技は、とにかく常識では考えられないくらいの速さで回っていて…回りすぎてアンキー選手が馬から落ちちゃうんじゃないか、と心配になるくらいの速さなのに、手綱がぶらぶらと緩くて、でも馬をコントロールしているのが不思議でしかたなくて。 どうやってあんなにすごいワザができるんだろうと感動したこともあって、チャンスがあればぜひ一度、会場で生で見たいと思っています。

このサイトをご覧の皆さんが、さまざまな馬術の種目に注目してくださると嬉しいです!

撮影協力: 公益社団法人 東京乗馬倶楽部
馬具・衣装協力: 日本馬事普及
Photo by UNITED PHOTO PRESS, Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT, c3.photography, Japan Equestrian Federation, Yusuke Nakanishi
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