障害物は競技のレベルによって高さが違い、トップレベルの競技では160cmもある障害物が置かれています。

障害物のタイプは、大きく分けると、「垂直障害」「幅障害」の2種類があります。「垂直障害」は高さだけが要求されるもの、「幅障害」は幅(奥行き)があるもので、その両方がコースにバランス良く配置されます。

色や形もさまざまで、レンガを積み上げたようなデザインの障害物や生け垣を利用した障害物などもあります。
ロンドンオリンピックの障害馬術競技では、ビッグベンやお城を模した障害、さらにはロンドン名物の2階建てバスを模したミニチュアを飛ぶような障害もあったんですよ!

私がこれまでに飛越したことのある一番高かった障害物は110cmです。飛んでいる瞬間は、「あ、飛んだ」という感じなんですけれども、身体がふわっと浮いて、本当に独特の感覚になりましたね。
皆さんも大会を観戦するときには、「こんな障害もあるんだ」とか「この障害を飛ぶとき、選手はどんな気持ちでいるのかな」といった視点で見るとより楽しめると思いますよ!

やはり、馬場馬術ではとにかく美しい騎乗姿勢を保てているかが重要なポイントになりますね。背筋のラインがまっすぐ伸びていて、まるで背中に1本の棒が入っているような、そんな乗り方をされている選手を見ると「わぁ、この選手は姿勢がとても綺麗だなぁ」とみとれてしまいます。
乗馬を始めた頃に私が教わったのは「頭とお尻とかかとが縦に一直線で、地面と垂直になるのが良い」ということでした。

最初の頃は、お尻が縦のラインから外れて後の方にでっぱってしまい、よくコーチに注意されました。それを気にすると今度はヒザが前の方に出てしまって注意されたり。美しい姿勢を保つために、背中の後ろに水平にムチを置いて、ひじの間に通したまま手綱を持ち、そのまま馬場を何周もするトレーニングもしました。そのとき「あぶみ上げ」といって、あぶみから足を外して練習するんですけれども、このトレーニングが一番つらかったかもしれないです。背筋もお腹まわりの筋肉もかなり使いますし、内ももを使ってバランスを取るために太ももの筋肉も酷使するので、最初の頃は、練習が終わってから階段を上り下りするときなどに身体のあちこちが痛くて大変でした。

他にも、馬場馬術の選手は手綱を握る指のわずかな動きや、脚の位置や力の入れ具合などを駆使して、馬が自らいきいきと動いているように演技を展開していきます。そういったトップ選手のテクニックにもぜひ注目して観戦してください!

総合馬術で行う3つの種目のなかで花形のクロスカントリーは、愛馬を操りながらハイスピードで森の中を駆け抜けたり、自然を生かした障害物を飛び越えたりするハードな種目なので、安全のために「プロテクター」を着用します。衝撃を吸収する素材を使ったものや、落馬しそうになって馬から身体が離れた瞬間に膨らんで身体を守るエアバッグのような機能を持ったものまで、さまざまなプロテクターが開発されています。

総合馬術の選手が着用しているプロテクターを見たとき、それだけハードなライディングに挑戦されているんだなと気付きました。その勇気がかっこいいですし、尊敬しちゃいます。

私も乗馬を始めたばかりの頃、プロテクターを着用していました。身体を守ってくれるので、着用するととても安心感がありました。初心者の頃は、落馬もしょっちゅう経験したのですが、プロテクターがクッションになってくれて痛みを半減してくれていたのかな、とも思います。

ヘルメットとともに安全を確保するためには欠かせない道具ですから、クロスカントリーに限らず、特に馬の動きや反応に慣れていない段階の騎乗では、安全のためにもぜひプロテクターを着用していただきたいですね。

このファンサイト内の「大会情報」のページに、日本馬術連盟主催の全日本大会の日程や見どころが掲載されていますよ。

「大会情報」ページから見に行きたい「大会名」をクリックすると、その大会の見どころ、会場へのアクセス、また直前情報・結果速報へのリンクなどが載っているページへ移動するので、そこでより詳しい情報をゲットすることができます。初めて観戦される方には、私も出場したことがある「障害馬術」が、ルールも分かりやすく、迫力満点でおすすめです。

ぜひ「大会情報」のページを活用して、楽しい観戦に役立ててくださいね。

《世界馬術選手権大会》です。これは4年に一度、オリンピックとオリンピックの間の偶数年に開催されます。ちょうど今年がその年にあたります。

オリンピックで行われるのは障害馬術、馬場馬術、総合馬術の3種目ですが、世界選手権はなんと8種目! オリンピックの3種目に加えて、エンデュランス、パラ馬術、レイニング、馬車、軽乗が行われるんです。もちろん参加する選手や馬の数も多く、1000人馬を超えるそうです。

このビッグイベントがスタートしたのは1990年です。8回目を迎える今年の会場はアメリカ・ノースカロライナ州のトライオン。9月11日~23日に世界のトップ選手とトップホースが集結します。大会の公式サイトによると、2週間で50万人の来場者を見込んでいるようです。

また、日本にとってはアジア大会も重要です。こちらも4年に一度開催されるもので、今年が開催年なんです。オリンピックのアジア版というイメージで、馬術を含め、41種類の競技が行われます。アジア大会はこの8月に、インドネシアのジャカルタで開催されます。

アジア大会と世界選手権には、日本の選手も出場します! 私も楽しみにしています♪

(菅井友香オフィシャルブログより)

(菅井友香オフィシャルブログより)

トップレベルの大会で活躍している選手はパートナーの馬が決まっています。毎日一緒にトレーニングをするだけでなく、厩舎でお世話もしますし、何年もかけて長いお付き合いをしているコンビが多いですね。そうすることで、馬とのコミュニケーションも深まりますし、より人馬一体となったパフォーマンスを発揮できるようになるんです。

私が馬術を始めたときは、少年団(未来の馬術競技選手を目指す、小学校高学年~高校生が所属)で「今日はこの馬に乗ってね」という感じで、日によって乗馬クラブが貸してくださるいろいろな馬に乗らせていただいたのですが、馬場馬術に本格的に取り組むと決めたあとは、愛馬「ヴォルフラム」と出会ってコンビを組みました。

ヴォルフラムはすごく体格がしっかりとした力のある馬で最初の頃はなかなか思うように乗りこなせませんでした。でも厩舎でお世話をするなど、一緒にいる時間を重ねていくうちに呼吸が合って、だんだんと「馬がこうしたいんだな」とか「今日はこんな風に乗ってほしいのかな」ということもわかるようになってきて、良いコンビになれたと思っています。

そのほか、高校生や大学生の試合では、大会主催者が準備した馬に乗る「貸与馬(たいよば)競技」も行われています。

海を越える遠征のときは、なんと馬も飛行機に乗ります! 馬が快適に過ごせるように特別な装備が施されていて、馬は一頭ずつストールと呼ばれる個室に入ります。温度や湿度はコントロールされていますし、グルーム(馬のお世話をする人)獣医さんも同乗してケアをします。
馬は普段からあまり横になって寝ることがない動物で、十数時間におよぶ飛行中もずっと立っています。シートベルトの代わりという訳ではないのですが、頭や肢をぶつけて怪我をしないよう専用のプロテクターをつけています。 機内食もあるんですよ! 馬が好きなときにいつでも食べられるよう、乾草と水が用意されています。

とはいっても、日本の馬が飛行機で移動する機会はあまり多くありません。それは、国際舞台で活動する馬のほとんどがヨーロッパやアメリカを拠点にしていて、陸続きの国で行われる競技会に出ることが多いからです。陸続きの移動は「馬運車(ばうんしゃ)」という馬専用のトラックが使われます。

オリンピックや世界選手権のような大きな大会のときには、何ヵ所かハブ空港が設定されて、そこからまとまって飛行機で輸送します。ちなみに、2016年のリオデジャネイロオリンピックのときには、イギリス、ベルギー、アメリカの3 ヵ所のハブ空港から、200頭を超える馬がブラジルに運ばれたんですよ!

この8月にはアジア大会に出場するため、日本代表の3頭が日本から、9頭がヨーロッパからインドネシアに移動します。無事に現地に到着して、元気に競技に出てほしいですね!

ケースバイケースです。

トップ選手は紹介を受けたり、情報を集めながら自分で牧場を巡ってパートナーとなる馬を探したりしています。オリンピックなど大きな大会で好成績を挙げた 有名選手の場合は、馬術競技用の馬を所有している馬主さんや牧場から「ぜひうちの馬に乗って!」とラブコールを受けることもあるそうです。

馬術競技馬としての本格的な 調教は4~5歳くらいに始まるのが一般的で、パフォーマンスのピークは10~16歳くらいだといわれています。若い馬を手に入れて一から育てることもありますが、ある程度までトレーニングが進んで、すぐに競技に出られる馬を購入するケースなど、いろいろです。

乗馬を楽しんでいる一般の方が「自分の馬がほしいな」と思ったときは、所属している乗馬クラブに相談して、レベルや目的、購入予算に合った馬を紹介してもらい、実際に乗り心地や相性を確かめてから選ぶことが多いようです。自分の愛馬を持つと、上達のスピードも早くなるそうですよ。

日本国内では「読み仮名で20文字以内」と決められています。読み仮名、というのは馬名を読み上げたときの音の文字数のこと。たとえば私と一緒に全国大会へ出場した「ヴォルフラム」なら「ぶぉるふらむ」で6文字。漢字の馬名で「欅坂 」なら「けやきざか」で5文字と数えます。

最近はヨーロッパなどから輸入された馬の名前をそのままカタカナにした名前が増えてきているそうです。アンバサダーライダーの小牧加矢太選手の愛馬は「ガルーファンデスケンメルスベルグ」というとても長い名前。ベルギーの馬で、「スケンメルスベルグ地方のガルーくん」という意味だそうですよ。

今、私が自由に馬の名前を付けられるとすれば、えーと…どうしようかな?
(と、しばし考えたのちフリップに書いた名前を見せて)
じゃじゃーん! 発表します!!
「ケヤッキー」です。

欅坂46関連の馬名にしたいなぁ、と思っていて、あと『二人セゾン』という楽曲が大好きなので「セゾンちゃん」とか「ケヤキザクラ」とか「ケヤキセゾン」といった名前も考えたんですけれど、「うーん、やっぱりしっくりこないなぁ」と思い直して、それから欅坂46のモットーが“謙虚と優しさと絆”なので、絆を英語にして「ボンズちゃん」だとか「ボンズセゾン」も考えました。

でも、でも、やっぱり語呂的にもカタカナでかっこいいし、呼びやすいし、とっても気に入ったのでケヤッキーにしました! いつか、ケヤッキーに乗って馬術の大会に出場して、「菅井友香選手、愛馬ケヤッキー」ってアナウンスされたらかっこいいかな、って思いました。

どんな馬かなぁ…、色は茶色っぽい鹿毛 (かげ)が良いですね、ちょっと欅坂46っぽい感じで。それから、額にある白斑がちょうど欅の葉っぱみたいな形だったら最高です。皆さんの周りにケヤッキーっぽい 馬がいたらぜひ教えてください(笑)!

馬というと「ニンジンが大好き!」というイメージを皆さんは持たれると思うんですが、実は馬によって意外に好き嫌いがあったりするので興味深いんですよ。

馬は草食動物なので、基本的にはやっぱり「草」を食べます。
一般的には乾燥した牧草や、とうもろこしや燕麦(えんばく)、小麦粉、米ぬかなどを混ぜてペレット状にした配合飼料を与えています。

競技に出場する、いわゆる「アスリート系」の馬は、厩舎で選手自身やスタッフが飼料の配合や1回 当たりの量などをコントロールしたり、サプリメントをミックスしたりと、きちんと管理されています。バランス良く食べるのが重要なのは、人間と同じですね。

おやつ感覚で与えることが多いのは、甘いもの。りんごやニンジンがその代表的なものです。
私が出会った馬の中で珍しかったのは、すいかの皮が大好き、という子がいましたね。ちょっと赤いところを残してすいかをあげると、とっても嬉しそうに食べてくれて癒された思い出があります。
  トレーニングで頑張ってくれた後などには、角砂糖や金平糖をご褒美として食べさせることもあります。金平糖をあげると、本当に幸せそうな顔でポリポリと音を立てて食べてくれて、その様子がとても可愛らしいんです。こちらも嬉しくなってついついたくさんあげたくなるんですが、与えすぎにならないよう気を付けています。

馬はとても感情が豊かな動物で、しぐさで感情を表現するので、そこに気を配って接していると馬の気持ちがよくわかります。

よくわかるポイントの1つが耳の動きです。馬は昔から広い草原などで暮らしていた動物なので、多方向の音を聞くために耳を様々な方向に向けることができます。

耳を立てて何かをじっと見ているときは、「なんだろう?」と前方の人や物に注意が向けられている状態。耳を横に向けているときは、馬がとてもリラックスしていて気分が良いときです。

逆に不安なときは耳がぴょこぴょこと動いて、色んな方向の音を聞こうとしています。それから、馬が興奮しているときや怒っているときは、耳を絞る、といって耳をぺたっと後にくっつけているようなしぐさをします。そのときは歯をむき出しにするような表情を見せたり、首を下げたり、歯ぎしりをしたりすることもあります。馬がそんなしぐさをしているときは、急に蹴られることもあるので注意が必要です。

馬が顔をすり寄せてきたり、鼻をくっつけてきたりするのは人間を友達のように思って、甘えている証拠です。

あと、よく厩舎などの床や地面を前肢で叩いたり、こするようにひっかいていたりするのは前掻き(まえがき)といって、何かを訴えています。おなかが空いていて「ご飯がほしいよー」とか「お水が飲みたいよー」といった合図だったり、「ちょっと散歩したいなぁ」といった気持ちを表していたり、体の具合が悪かったり、精神的に落ち着いていないときなどもそんなしぐさをします。

そのあたりの馬のしぐさを、よりわかりやすいようにマペットやぬいぐるみを使って説明しましたので、ぜひこちらの動画も見てくださいね!

馬への合図のことを「扶助(ふじょ)」といいます。その方法は大きく分けて3つあります。まず、「脚」。馬術では「あし」ではなく「きゃく」というんです。そして「拳」。手綱を通してハミ(馬の口に入っている道具)に働きかけます。もう1つは「座り」。「シート」ともいいます。体重の掛け方で馬にいろいろなことを伝えることができます。

馬に乗ったら鞍(くら)にお尻をベタっとつけるのではなくて、ちょこんと乗せるくらいのイメージですね。坐骨をまっすぐにして座り、両脚の内ももで馬体を挟み、あぶみにはあまり深い位置まで足を入れずに、甲の一番足幅のある部分を乗せます。馬に「歩いて」という合図を送るときは足首を柔らかく使ってかかとでやさしく馬のおなかを押してあげるイメージです。

曲がってほしいときは、手綱だけで操作するのではなく、両脚でギュッと馬を挟んだり、自分の重心を移動させたりして曲がることを馬に伝えます。

手綱はできるだけリラックスして持ち、余計な力を入れないようにするのですが、必要なときに手首を返すなどして操作します。

このように乗り手は脚、拳、座りの3つを連動させて使います。上手なライダーはほんのわずかな合図で馬に指示を出すことができるので、傍からは何もしていないように見えるんです!

大学の馬術部では、馬のお世話を自分たちで行っていました。

部員は朝6時半くらいには馬術部の厩舎に集合します。

最初に馬房という、馬が過ごしている部屋を掃除して、床に敷いてあるワラやおがくずが減っている場合はそれを交換して、馬が快適に過ごせるようにします。次に水桶という、馬が水を飲むための大きなバケツを全部外して1つひとつを綺麗に洗ったり、外の掃き掃除をしたり、馬の体温を計ったりといったことを部員同士で手分けして行っていました。

馬が食べる飼い葉は、何をあげたら良いのかが一覧表になっているのでそれを見ながら配合をしたり、「元気がないから今日はこれを飼い葉に混ぜてみよう」などと担当の先輩と相談しながらつくったりしていました。

大学の授業が終わったら、練習馬場で馬に乗ってトレーニングをします。馬の体調にもよりますが、45分から1時間くらいは乗っていたかな。

練習の後には馬のひづめの間に詰まった泥などを取ってあげたり、水浴びをさせてからブラシをかけてあげたりして馬とコミュニケーションを取りました。そのような感じで1日のうち相当な時間を馬術部の馬場と厩舎で過ごしていたような気がします。

馬の世話や体調管理も含めて部員が責任を持って取り組むので、いろいろな知識も身に付いたし、馬が自分たちの身近な存在となっていたので、馬のちょっとした変化にもすぐ気付けるようになりました。大学時代を馬術部で過ごせてとても良かったと思っています。

それから馬に会えるのが楽しくて毎朝通っているうちに、苦手だった早起きが苦にならなくなりました。アイドルになった今でも寝坊しないのはそのときの経験が役に立っているのかもしれませんね。

Photo by UNITED PHOTO PRESS, Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT, c3.photography, Japan Equestrian Federation, Yusuke Nakanishi
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