馬術競技でオリンピックや世界選手権を目指す選手の多くは、ヨーロッパを拠点に活動している。馬術が欧米で盛んだということが主な理由だが、馬を連れて日本と欧米を行き来するのが困難だという理由もある。
総合馬術選手の大岩義明(株式会社nittoh)もその一人。2000年シドニーオリンピックの開会式をテレビで見て、「自分が行きたかったのはここだ」と気づき、翌2001年に渡欧し、現在はドイツを拠点に活動している。北京、ロンドン、リオデジャネイロと3回のオリンピックを経験し、確実に力をつけている。特に昨年(2017年)の活躍は目覚ましかった。シーズン序盤の3月にポルトガルのバロッカダルヴァCIC3スター競技会で優勝すると、5月には総合馬術競技の最高峰(CCI4スター)バドミントンホーストライアルズ(イギリス)で8位、その1ヵ月後にはイギリスのブラマムCCI3スター競技会で優勝、さらに10月にはポーランドのストシェゴムCIC3スター競技会で優勝してシーズンを締めくくった。FEIランキングは過去最高の27位をマークした(2017年10月-11月)。今年もバロッカダルヴァに参戦して、2頭の馬で2つのクラスで優勝、好スタートを切っている。

馬術競技でオリンピックや世界選手権を目指す選手の多くは、ヨーロッパを拠点に活動している。馬術が欧米で盛んだということが主な理由だが、馬を連れて日本と欧米を行き来するのが困難だという理由もある。
総合馬術選手の大岩義明(株式会社nittoh)もその一人。2000年シドニーオリンピックの開会式をテレビで見て、「自分が行きたかったのはここだ」と気づき、翌2001年に渡欧し、現在はドイツを拠点に活動している。北京、ロンドン、リオデジャネイロと3回のオリンピックを経験し、確実に力をつけている。特に昨年(2017年)の活躍は目覚ましかった。シーズン序盤の3月にポルトガルのバロッカダルヴァCIC3スター競技会で優勝すると、5月には総合馬術競技の最高峰(CCI4スター)バドミントンホーストライアルズ(イギリス)で8位、その1ヵ月後にはイギリスのブラマムCCI3スター競技会で優勝、さらに10月にはポーランドのストシェゴムCIC3スター競技会で優勝してシーズンを締めくくった。FEIランキングは過去最高の27位をマークした(2017年10月-11月)。今年もバロッカダルヴァに参戦して、2頭の馬で2つのクラスで優勝、好スタートを切っている。

- 昨年(2017年)は、2001年にヨーロッパに渡ってから16年間の活動の中で、最も良い結果を残した1年だったと思います。振り返っていかがですか?

大岩 シーズン初めにいきなりザ・デュークオブカヴァンで3スターを勝って、そこから何となく波に乗っていた感じがあります。春先からイギリスのピッパ・ファネルの厩舎でバドミントンに向けてトレーニングをして、完璧なコンディションで臨むことができました。キャレで出場したブラマムは上位を狙って走った結果、馬が持っているものを全部出してくれました。

- ザ・デュークオブカヴァンとキャレの2頭でコンスタントに活動できましたね。

大岩 2頭がそれぞれ2つの競技で活躍してくれました。シーズン初めから世界ランキングも意識して臨んで27位になったことを考えると、良い戦いができたシーズンだったとは思いますが、特別だとは思っていないんです。

- 2005年には初めて走ったバドミントンを完走、2006年には世界選手権のクロスカントリーで、ジャストインタイム(規定タイムぴったりでゴール)で18位、そしてアジア大会(ドーハ)で金メダルという成績を挙げました。その時と今は違いますか?

大岩 違いますね。経験を積んだことで、たいていのことには対応できるようになりました。初めてのバドミントンで乗ったヴォユデュロックは完成された馬でした。いい馬に乗るチャンスをもらって、たくさんのことを学び、僕が馬から自信をもらいました。でも、今は逆に、僕が馬に自信をつけさせ、馬の良さを引き出してあげなくてはなりません。

- オリンピックには北京、ロンドン、リオと3大会出場していますが、大岩さんにとって特別な大会でしょうか。

大岩 もちろんです。自分では覚えていないほど小さい頃に「オリンピックに出たい」と言っている映像が残っているんです。今、僕が目指すゴールは、オリンピックで好成績を出すことです。

- これまでの3大会を振り返っていかがですか?

大岩 北京の時はクロスカントリーで「一か八か」の賭けに出て、厳しいアングルで障害物にアプローチしたのですが、反抗があって大きな減点を負いました。ロンドンでは初日のドレッサージュ(馬場馬術)でトップに立ち、日本人でも点数をつけてもらえるんだという自信になりましたが、クロスカントリーで落馬。下り坂に向かって飛び降りるタイプの障害だったのですが、馬のリアクションが僕の想定をはるかに超えていて、それについていけませんでした。リオは、馬のコンディションが良くない中、僕と馬とのコンビでできるベストを目指して走った結果、20位でした。

世界のトップが集結するバドミントンホーストライアルズ(CCI4*)ではザ・デュークオブカヴァンとのコンビで8位

- 次は東京ですね。

大岩 実はロンドン大会を機にやめるつもりだったのですが、東京で開催されるならやらなきゃいけないと思いました。それは僕が決めたのではなく、こういう運命になったと。そうであればリオも行っておかなければと思い、急いで馬を探し、2015年にザ・デュークオブカヴァンを手に入れて出場権と基準をクリアしました。

- リオは東京に向かう準備の一環だったということですね。

大岩 そうですね。現在の活動は全て東京への準備。だから、2017年シーズンの成績が良かったことに関して、達成感が何もないんだと思います。

- その東京オリンピックへの想いを聞かせてください。

大岩 競技で完走することはもちろん大事ですし、練習してきた以上のことが本番でできるはずがありません。けれどオリンピックは、ベストを出しただけで満足していい大会ではないと思っています。僕にとって20位は、30位、40位、50位と同じです。トップ10に入る成績を出さなくてはいけないと思いますし、そのためにはある程度の賭けに出なければならないこともあると考えています。ただ、経験を積んできたことで、自分の全体的なベースは上がっていると感じていますし、いろいろなことが想定できるようになっています。戦えている手応えはありますね。

- 想定というのは具体的にはどのようなことでしょう?

大岩 もしこういうことが起きたら、この馬はどうリアクションするか、その時に自分がどう対応するか、ということをとことん考えます。イメージトレーニングして、あらゆるケースについて頭の中でリハーサル済み、という状態で競技に臨んでいます。全てが想定内だから落ち着いて対応できる。そうでなければ安定した成績は出ません。勝つためにはイメージトレーニングはものすごく大事なんです。

- ヨーロッパでは、アンドリュー・ホイさん、ダーク・シュレイドさん、ピッパ・ファネルさんというトップライダーと一緒にトレーニングしてきました。得たものがたくさんあると思います。

大岩 彼らから教えてもらうこともたくさんありますが、大切なのは見ることです。馬がどういう状況の時に、彼らが何をしているんだろうということをよく観察します。その時も頭の中では自分が乗っているというイメージを持って見ると、彼らのリアクションと自分のリアクションが違うことがある。その時に出てくる「どうしてだろう?」というクエスチョンを常に探すようにしています。それは自分の考えにとらわれずに、柔軟に考えるチャンスです。自分にはまだまだ足りないことがあると気付かされる環境は、すごく大事だと思っています。

- 大岩さんの話には時々「戦う」という言葉が出てきます。何との「戦い」ですか?

大岩 日本から出たら常に戦場です。相手は世界のトップ選手。日頃の練習やつらいトレーニングは全て、彼らと互角に戦うために必要な準備です。

- 何十年も戦いの場にいつづける原動力は何ですか?

大岩 今の原動力は間違いなく東京オリンピック。それと、成績が上がって、以前よりも戦えているという実感。このまま続けていたら、いつか自分の時がくるんじゃないかって思えている間は戦える。2017年はそれを感じられたシーズンでした。最高の舞台で最高の結果を出すために、今年(2018年)はさらに成長しなければならないと思っています。

CCI3* Bramhamではキャレに騎乗して優勝

Photo by UNITED PHOTO PRESS, Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT, c3.photography, Japan Equestrian Federation, Yusuke Nakanishi
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